地域圧倒的1番企業を目指すリフォーム会社が整備するべき評価賃金制度

「数年前に評価制度を作ってはみたが、どうもうまく運用ができていない」

「会社の多角化や多店舗化に制度が追い付いておらず、社員の納得感が得られない」

最近はこのようなお問合せを頂くとことが増えて参りました。

20年~15年ほど前に制度設計をされたという企業様にこのような傾向が多く見られます。

当時と今を比べると経済的な背景や社会的情勢はもちろん、企業様の規模感なども大きく違っています。

 

このような状況を解決するためには評価賃金制度の再構築が急務であると言えますし、

仮に評価賃金制度をまだ整備していないという企業様も同様です。

 

まずは現在のリフォーム業界における評価賃金制度の3大トレンドについてお伝えしましょう。

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トレンド1【高固定給&低率歩合】

かつては固定給を低めに設定し、営業実績に応じて支給する歩合給の比率を高めに設定するという企業様が多くを占めていました。これは成長期においてはある意味で正しい選択であったと言えます。また、固定部分が低いので企業側としてもリスクヘッジを取ることも可能でした。

しかし、現在の労働環境は当時とは大きく変わりました。まず、安心して働けるような環境が求められます。これは固定給を大きくし、変動給与である歩合の比率を低く設定するという考え方です。また、現在の若い社員の多くはそこまで稼がなくても・・・という方も多いようですから、歩合で他人より多く稼ぐという発想につながりにくいようです。

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トレンド2【間接部門の評価強化】

営業等の直接部門は数字で定量的に評価をしているという企業様は多いと思います。社内に評価制度はないけれども、営業の数字評価と歩合制度だけはあるという企業様も多いでしょう。

しかし、営業が数字を創るためには、受注前からお客様と関わってくれている設計やインテリアコーディネーター、現場の施工管理をしてくれている工務部門、様々な処理をしてくれている総務部門等様々な部門の社員が密接に関わっています。それらの社員も正当に評価し、その働きに応じて給与が変わっていく仕組みが必要となります。

ただし営業職とは違い、定量的な評価軸の設定が難しく、二の足を踏んでいるという企業様も多いようです。

これは各職種に求められる専門的なスキルや重点目標の設定とその取り組み、成果等を表示区として設定すると良いでしょう。

全社員で会社の業績を創っているという発想が必要ということになります。

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トレンド3【生産性向上+労働分配率】

働き方改革によって残業は悪しきものという発想が声高く叫ばれています。たしかに残業を減らすことで生活にゆとりを持つことは必要です。ワークライフバランスという表現がこれにあたります。

ただし、やみくもに残業をなくすだけではうっかりすると業績を下げてしまう可能性もあるもの現実です。

ここで生産性という発想が必要となります。

生産性には2種類ありますが、まずは労働生産性です。これは全社員一人あたりの粗利高と考えれば良いでしょう。損益計算書にある売上総利益を全社員数で割った金額となります。中小企業におけるの合格水準目安は年間1,000万円以上となります。

これが達成できたら次に人時生産性を求めることになります。これは生産人員の1時間あたりの粗利高になります。

仮に一人170万円/月の粗利として月の労働時間が170時間であれば労働生産性1万円/時となります。同じ粗利を200時間の労働時間で稼ぐとすると8,500/時となります。

ここで効率を求めることになります。現在はDX等を活用することで人時生産性は高められそうです。

また、会社全体における労働分配率や営業社員個人における労働分配率も考慮する必要があります。

一般的なリフォーム企業であればP/Lにおける全社労働分配率はおよそ40%~50%前後でしょう。もちろん労働分配率を低く設定すれば営業利益は出やすくなりますが、社員からは不満の声が上がりますし、逆に高く設定しすぎると営業利益を削りすぎてしまう可能性もあります。

これらを総合的に考えた評価賃金制度の構築が必要となって参ります。

 

地域圧倒的一番企業へ向かうために

地域での圧倒的一番企業へ向かうためには一つの業種、業態だけの展開では困難であると言えます。

また、コロナ禍のような社会的不安要素があった場合のリスクヘッジも必要になります。

そのような意味からも複数業種・複数業態に取り組む「コングロマリット戦略」をとる企業が増えてきました。

当然ながらそれぞれの業態や業種にあった評価賃金制度を構築することが必要です。

なかには福祉業界へ進出される企業様もいらっしゃいますが、その場合は賃金体系そのものも現業のリフォームとは大きく変えなければなりません。

また、多店舗化を進めるうえでは当然ながら店長職、さらにはエリアマネージャー等の管理職要件についても検討しておく必要があります。

社員の皆さまに視点を移すと将来のポストが増えることになるので、モチベーションアップにもつながります。

会社の事業展開スピードに先んじてこれらを総合的に検討、決定し、社員に対してアナウンスをしておくことも重要となります。

建設業界の24年問題、働き方改革、DX、人財採用など様々な課題はありますが、会社の成長と社員満足を両立させるような評価賃金制度の整備をお急ぎください。

 

株式会社船井総合研究所

リノベーション支援部

シニアコンサルタント

生田目吉章