契約率70%の新卒リフォーム営業が実践している初回商談のやり方

若手営業でもベテラン顔負けの受注をするための「会社信用づくり」

こんにちは。船井総合研究所の齋藤勇人です。
今週も最新コラムをお送りします。
今週のコラムテーマは「契約率アップのための初回商談のやり方」です。

「リフォーム営業で一人前になるには覚えることが多い、経験がないと難しい」
住宅のあらゆる部位を扱うリフォームの仕事は、
たしかに求められる知識の量が多く、人が育ちにくい業界です。
さらに業界が成熟して競合企業も少なくないため、
お客様が複数の会社を比較する「相見積もり」を取っている場合などは特に、
知識不足や経験不足でお客様に不安を抱かれてしまうと、
新人営業は思うように契約を頂くこともできません。

しかしその一方で、新卒1年目、2年目の営業マンが、
施工管理もしながら年間5000万円や6000万円といった契約を獲得している事例
も全国至るところで見られます。
そして、このような新人営業の人たちは決して飛びぬけた営業センスがあるわけでも、
ベテラン顔負けの豊富な知識があるわけでもありません。
他社の新人営業と変わらない、普通の社員たちです。ただし1つだけ明確に違うのは、
お客様との初回商談の際には必ず「自社の会社案内」を徹底して行っている点です。

「自社の会社案内を徹底すると契約率が上がるの?」
その行動と成果のギャップに、少し違和感を感じるかもしれませんが、
これが実際の事例なのです。今回はこの、契約率を上げるための
「初回商談時の会社案内」について解説します。

会社案内の目的は「信用づくり」

会社案内の第一の目的は、
「きっと任せて安心できる会社だな。」という会社の信用を獲得することです。
逆に言えば、「この会社なら任せて安心そうだから、
この後に提案してくれるプランも金額もきっと任せて大丈夫だな。」という高い信用を初回商談で得ることができれば、細かい工事内容の説明を専門用語だらけで畳みかけるベテラン営業マンよりもお客様から契約を頂ける確率は高くなります。
したがって経験の浅い新人営業ほど、
この「会社信用づくり」は成果を出すために重要なポイントになります。

以上を前提にすれば、どれだけわかりやすく自社の情報をお客様に伝えたとしても、
「そういう会社なのですね。よくわかりました。」で終わってしまっては意味がありません。
お客様が「会社選びに際して不安なこと」を理解して、「こういう点で不安に思っているのでしたら、当社はこういう理由で安心ですからね。」という形で不安を解消するような会社紹介をしてあげなければいけません。
この場でいくつか例を挙げるとすれば、

  • 地元で実績がある会社かどうか
  • 評判はどうか
  • 費用面や品質面は大丈夫か
  • 連絡や対応は丁寧か
  • 工事後の対応は大丈夫か

などがあります。

会社案内をする際は、これらのお客様の不安を念頭に置いて、
「会社を選ぶ上で、地元で実績があるかどうかは気になるところですよね?私どもは〇〇市で〇年に創業してから、これまで〇件以上リフォームのご依頼を頂いて、〇%以上のリピートを頂いている会社ですのでご安心ください。」
というように自社の情報を紹介するのが基本です。

契約率70%の7メソッド

「モノ売り営業」から「コンサルティング営業」のスタイルへ

お客様から契約を頂けなかったり、
いつも価格競争の駆け引きになってしまう営業マンは多くの場合、
「商品(リフォームの場合はプラン)」と「価格」
という表面的な情報だけに頼ったモノ売り営業をしています。
そのような発想だと、営業として一番力を込めるのは
「見積書とプランを提示してクロージングする瞬間」であり、
初回商談ではお客様の要望を聞くだけに終始してしまっていることでしょう。

残念ながら、上記のスタイルではいつまで経っても
売れるリフォーム営業にはなれません。
売れる営業マンは「初回商談で9割決まる」という意識で、
クロージングの瞬間よりもはるかに
初回商談におけるヒアリングや信用づくりを大事にしています。
なぜか?それは初回商談の段階で「この会社(担当者)に任せておけば大丈夫だな」という信用を築いておくことができれば、
見積書を目の前にしてお客様を必死に口説き落とすよりもずっと簡単に
契約を頂けることを知っているからです。

実は私たちが行っているコンサルティングというサービスの営業も、
お客様に信用で契約していただく営業スタイルの代表例です。
なぜならばお客様に契約していただいた時点ではまだ成果はかたちになっておらず、
「こういう成果(将来の状態)を達成するために貴方にお願いします。」
というかたちで契約を頂くからです。
これはコンサルティングという特殊なサービスに限ったものではなく、
住宅リフォーム業界においても同じで、

①いまの家の状態に悩みや不満を抱えているお客様がいる

②その悩みや不満を理解して、「その悩みを解決するなら私たちに任せてください」
という安心を与えて信頼を築く

③具体的に悩みや不満を解決する方法はこれで、そのコストはいくらです。

上記の②の時点、すなわち見積書やプランを提示する前の段階で、
お客様に「この会社(担当者)に任せてみよう」
と思っていただく営業スタイルの方が成果を出しやすいのです。

コンサルティング営業のポイントはお客様への「基準づけ」

「コンサルティング営業」などと難しい言葉で説明されても、
実践するのは難しいという印象をお持ちの方もいるかもしれません。
そこで最後に、商談の中でお客様の信用・信頼を獲得するためのテクニックを
1つご紹介します。私はこのテクニックを「基準づけ」と呼んでいます。

突然ですが、何かを買おうと検討しているお客様が営業マンに相談するのはなぜでしょうか?それはもちろん、買うという決断をするにあたって何かに“迷っている”からです。

その悩みの内容は様々ですが、
「なぜ悩むのか」という理由はたった一つしかありません。
それは「判断するための基準がわからないから」です。
買うか・買わないか、良いか・悪いかを判断するための基準が曖昧だったり、
わからなかったり、自信がないからこそ、自分一人では判断できずに迷っているのです。

そんな時に買い手にとって一番ありがたい存在は、
「正しい(と思える)判断基準を教えてくれる人」です。
リフォーム営業なら「良いリフォームをするための判断基準はこうですよ。ここはしっかり押さえておいたほうが良いですよ」と客観的に示してくれる営業担当者は、まだ何も具体的な提案をしていなくても、それだけで信用を得ることができます。

会社案内で信用づくりを上手にできる営業マンは、
自社の強みを伝える前提として、この基準づけをしっかりと行っています。例えば、

例)「リフォームで“失敗した”と言うお客様で一番多いのが、会社選びを間違ってしまうパターンなんです。具体的には①CMでもよく見る会社だから安心だと思って頼んだら、工事は丸投げで仕上がりがずさんだった上に割高な費用と取られた、②・・・、③・・・。といったものですね。ですから、まず会社選びの時点で①その会社の工事体制が自社施工または自社管理の直接発注か、②・・・、③・・・という点は押さえるようにしましょう。ちなみにこの①~③について、当社ではこのような体制をとっていますのでご安心ください。」
といった展開です。

おわかりでしょうか?下線部分の(まず会社選びの時点で~)で、
お客様がリフォームで失敗しないための客観的な基準を提示して、
「こういう基準で会社を選べば良いんだな。」
という基準をお客様に納得してもらった上で、
自社がその基準に満たしていることをさりげなく伝えているのが赤文字
(①~③について、当社では)の部分です。
自社の強みやアピールポイントを次々に並べ立てる会社案内トークよりも、
その強みがお客様にとってなぜ必要なのか、
どんなメリットがあるのかがわかりやすく、納得感があるトークになります。

このように、売りたい商品や金額の魅力を必死に伝える前に、
「お客様の悩みをベストな形で解決するためには、このポイントを押さえることが大事ですよ。」という基準をしっかりと伝えて、
「私たちに任せてもらえれば大丈夫ですよ」という信用を築いておく営業の方が、
商品知識・施工知識に頼った営業よりもクロージングが簡単なのです。

早いうちから活躍する若手営業が、
経験や知識に頼ることなく成果を出せている理由も上記のとおりです。
これから新卒社員や未経験者をリフォーム営業として育成していこう
と考えている経営者や事業責任者、マネージャーの方の参考になれば幸いです。

以上、「契約率アップのための初回商談のやり方」と題してお伝えしました。
来週木曜日もお楽しみに!