【プロパンガス会社×新規事業】いまリフォーム事業に取り組むべき理由

今週の業績アップポイントは
「プロパンガス会社がいまリフォーム事業に取り組むべき理由」です。

産業にはどんなものにも調子のいい時とそうでない時というものがあります。
縦軸に市場規模、横軸に時間を据えたグラフで産業の成長を見たとき、局所的に見れば流行の様なものに沿う形になりますが、大局的に見るとそこにはライフサイクルと呼ばれる波状の成長曲線が観測できます。
これはどの産業でも観測でき、インフラ整備の拡充や新技術の登場による影響を強く受けます。
各企業の努力によって盈虚の形は異なりますが、たいていの場合は自社の調子がいい時は隣の同業も好調で、先細る時には皆同列に勢いを欠いていくものです。
当然、今回クローズアップするプロパンガス産業も同様に外的環境から影響を強く受けています。
早速、市場動向と今後の流れを見ていきましょう。

市場の成熟度を表すとき導入期・成長期・成熟期・衰退期・安定期
という5つに分類がなされます。
導入期は横ばいから漸進的な成長、成長期は指数関数的成長、成熟期は成長の緩慢化から頭打ち、衰退期は指数関数的な市場の縮小を指します。
その後、安定期を迎えると衰退期後の市場規模が横ばいになります。
プロパンガス産業は成熟期から衰退期への過渡期にあります。
その兆候として3点
①LPG需要と顧客数がじわじわと減少している点。
今後も市場は時間とともにやせ細っていきます。

②都市ガス自由化で中堅企業が地方へと流出し、
大手ガス会社による地域M&Aが活発化している点。
このことから旧態依然の同業者間の“共存共栄”の体制を維持することが難しくなります。

③電気や都市ガスといった他のエネルギーとの競争に晒されている点。
今後も値下げへの圧力が強くなり収益力が落ちていきます。
それらに加えて、業界の特性上競争が少ないこと、30年前からビジネスモデルを変える必要がなかったことから組織が硬直化する傾向にあります。

以上の収縮気味の市場動向と変化に鈍い業界特性から、今後茹でガエル状態の企業が続出するのではないかと危惧しております。

では市場動向と今後の流れで触れた現在のプロパンガス産業に根付く問題に対してどのようなアプローチを取るべきかという点について考えていきましょう。
結論から申し上げますと一般的に衰退期を迎えるビジネスモデルを運用する企業が取るべき施策は新規のビジネスを展開することにあります。
この時、大企業であればM&AやR&Dに多額の資金を投入して新たにヒト・モノ・カネ・情報等の資産を獲得することが出来ますが、中小企業であれば自社にある資産を活用することが大切です。
ことプロパンガス産業の企業には以下の理由からリフォーム産業を推奨します。
①完全な異業種ではなく、すでに関わりのある領域である点。
②ガス機器の交換からはじまって、水廻りの工事を既にやってきている点。
③お客様との長く深いつきあいがあるし、安心感がある点。
④小回りのきくスピード対応(現調・見積提出)にも対応できる点。
⑤「無理な営業はしませんよ」と本音で言える強みがある点。
これらはプロパンガス産業以外にはなかなか見られない貴重な資源と言えます。

では、リフォーム産業の動向について確認していきましょう。
住宅リフォーム市場規模は2010年頃の6兆円から微増傾向、現在6.5兆円前後となっており、国内シンクタンクによる市場予測でも今後3~5年で7兆円近くまで成長する予測はあるものの、以降は横ばいと予測されています。
市場規模を見れば成熟期を迎えているが、大手がシェアを取り切れていない業界というのがリフォーム産業の特徴です。
地域に根差し小回りを利かせなければ対応できない性質の案件は空白のマーケットと言えます。したがって、地域密着の中小企業がシェアを獲得しやすい業界ということです。
こういったケースでは成熟期マーケットに合った戦略を採れば、中小企業が大手以上に地域のシェアを取って安定した基盤を獲得することが可能です。

先程、成熟期マーケットに合った戦略と申し上げましたが、一体それが何なのかについて本項目では突き詰めていきます。
先述の通り市場の成熟度には5つの段階があります。
成熟期の戦略を考える材料としてそれぞれの特徴を以下に記載します。
①導入期
商売“走り”の時代。マニアか物珍しさ屋が購入する時期であり、
普及率がまだまだ低く購入している人がかなり珍しい時代です。

②成長期
普及率が高まり始め、同時にプッシュ型からプル型マーケティングが
有効になり始めるます。面取り合戦の時代品質での安心感は今一つの時代といえ、
中盤から後半にかけて大手資本(大型店)が本気で参入をはじめます。

③成熟期
大資本(大型店)本気で参入によって認知度が急速に高まり、
普及率がかなり高まってユーザーの知識が成熟します。
それに伴いニーズ多様化が始まります。

④衰退期
需要に対して供給の割合が増えモノやサービスがあまり始め、「安くても要らないものは要らない」という声が出てきます。
お客様に予算感覚が芽生え、商品やサービスに対する知識が成熟するため「良い」か「悪い」かより「好き」か「嫌い」かが優先され始めます。

⑤安定期
予算の中で自分の「好みのモノ」を買います。
要らないものは安くても買われない市場です。

改めて、成熟期の特徴は大手の本格参入と消費者のサービスへの知識の成熟です。
大手の参入についてはリフォーム産業の動向でも触れましたが、大手企業は規模の経済性を利用した薄利多売を得意とします。
しかしながら、ことリフォーム産業においては少額リフォームやスピード対応が必要な案件については手を出すことができません。
リフォーム産業は実際に人が動いて施工することで成り立ちますので対応すべき商圏が広すぎてすべてを請け負うことが出来ないのです。
加えて、消費者のサービスへの知識の成熟が進むことで、一口にリフォームといっても修理工事中心の企業なのか、大型工事中心の企業なのかという区別がついてきます。
そうなると、消費者が惹きつけられるのは「何でもやります」という総合的にサービスを提供する店舗ではなく、
増改築専門店や水廻りリフォーム専門店、機器交換専門店といった専門店です。
以上のことから、小商圏の機器交換専門店というのがプロパンガス産業の企業が成熟期のリフォーム市場で取るべき戦略です。

最後に、戦略を実行に移す際に抑えるべき2つの要点をお伝えします。
①専門店化する。
②オープンマーケットを攻める。
この2つです。
簡単なことのようですが、意識的に進めていかなければ必ず戦略は頓挫してしまいます。
「専門店化する」というのはプロパンガス事業の片手間ではなく、一つの事業の柱として捉えるということです。
ガス屋さんがリフォーム“も”出来るという状態から脱し、専門店を構えてリフォームの専任部隊を作るということです。
その様な状態を作ることで初めて消費者から「さすが専門店!このお店に頼みたい」という反応が見られるようになります。
先述した専門店化にはこういった反応が必須です。
「オープンマーケットを攻める」というのはガスのお客様にリフォームも提案するのではなくリフォーム事業単体でも採算が取れる状態にすることです。
既存事業であるプロパンガスの顧客名簿だけをターゲットにするのではなく、店舗やチラシ、HP等のプロモーションを活用して一般のマーケットを開拓していきます。
そうすることで本当の意味でのもう一つの事業の柱となりうるのです。

今回度提案させていただきましたリフォーム産業の市場動向について弊社コンサルタントが更に詳しく解説しております。

是非ここから経営のヒントを得て頂ければと思います。
「《町のガス・水道・電器・畳屋さん向け》1dayリフォーム事業解剖書」
https://lp.funaisoken.co.jp/mt/fhrc/pdf-reform21.html

今回のお話以外にも我々船井総合研究所リフォーム支援部では隔週金曜日に日々のコンサルティング現場における成功事例や、業界最新情報を配信中!集客手法、育成、商品づくり、業界の時流に沿ったテーマをお届けしておりますのでご興味を持っていただけましたら下記よりメルマガのご登録をオススメ致します!

感染症に罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い回復と終息を祈念いたします。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに!

 

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