消費税込の「総額表示」の義務化、リフォーム会社はどう対応する?

◆価格表示についての準備は進んでいますか?
2021年4月1日から消費税込みの「総額表示」が義務化になります。近年は住宅リフォームビジネスもチラシやホームページなどで価格を表記するのが当たり前になってきており、これまで税別表記をしてきた会社はこの義務付けに対応しなければなりません。

「総額表示」の義務化とは?

2014年からの2度にわたる消費税増税に対して、「税率が何回か変わりますから、値札や販促物で価格を差し替えるという負担がないように、事業者の皆さんは当面のあいだ“消費税抜き”の価格表示をしていて良いですよ」という特例措置が2021年3月をもって終了となります。
そのため、2021年4月1日からは消費税を含めた「総額表示」で販売価格を表記することが義務付けられます。今のところ違反に対しての罰則はないそうですが、意図的な違反はお客様から見た印象を悪くしますし、「悪意を持って消費者に価格上の誤認を与えている」とされた場合には、景品表示法の有利誤認とみなされる可能性があるという見解もあります。
ですから、今から速やかに準備を進めて総額表示へと移行するのが良いでしょう。

総額表示の義務付けの参考サイト:国税庁 No.6902 「総額表示」の義務付け
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm

総額表示の例と義務付けの対象となる表示物

今回のポイントとなるのは「総額表示」です。つまり「お客様がその商品を購入する場合に消費税を含めて“いくらのお金を支払うのか”」が表記されていることが必要となります。

【総額表示の例】
具体的には下記のいずれかのような価格表示になっていればOKとされています。

例)税抜きの本体価格が1,000,000円の商品の場合
1,100,000円
1,100,000円(税込)
1,100,000円(税抜価格1,000,000円)
1,100,000円(うち消費税額等100,000円)
1,100,000円(税抜価格1,000,000円、消費税額等100,000円)
1,000,000円(税込1,100,000円)

つまり、税込の総額である“11,000円”が表示されていれば良いということになります。

これらの義務付けの対象になるものですが、

  • チラシやDMに掲載している商品ごとの価格表記
  • ホームページに掲載している商品ごとの価格表記

など、販促物において個別の商品に対する価格を表記する場合は原則すべて該当します。
また、ショールームに設備機器を展示している場合に、その商品に対して貼られている価格表示POPなども対象です。

一方で、看板などに「システムキッチン59.8万円~」などと記載してある場合についてですが、こちらは義務化の対象となるかどうか少々微妙なところです。というのも、この場合は消費者に「この商品を買ったら何円」という特定の商品に対する誤認を与えうるものではないため、その判断が分かれるところです。

したがって、まずはチラシやホームページなどに掲載している価格表示と、展示商品の価格POPなどを変更すれば概ねOKかと思います。

住宅リフォーム会社はどう対応する?

この税込総額表示はどの事業者に対しても義務付けられるものなので、4月1日までにこれらの価格表記変更をしなければなりません。
この時まず課題となるのが、“39.8万円(税抜)”をそのまま税込表記にしてしまうと“43.78万円”となってしまい予算帯が変わってしまう、お客様から見て魅力的な価格訴求が損なわれてしまうというものです。この点については、これを機に原価の見直しや商品ラインナップの再構成ができれば理想的ですが、残り数ヶ月でそこまでの価格改定をやりきるのは難しいという会社様がほとんどでしょう。
ですから、チラシやホームページにおける“ぱっと見”の予算帯が変わってしまって「金額が上がった!?」というような印象を持たれてしまわないためにも

例)税抜きの本体価格が1,000,000円の商品の場合
1,000,000円(税込1,100,000円)
という形の総額表示形式を取るのが最も妥当だと言えるのではないでしょうか。

今週もお読みいただきありがとうございました。
来週の配信もお楽しみに!

住宅リフォームビジネスの最新経営情報をキャッチ!
ぜひ研究会の無料お試し参加をお申込みください!
特別ご招待