リフォーム経営のデジタル化のポイントは「施工管理」と「生産性向上」

今や業種を問わずあらゆる企業において待ったなしの「デジタル化」ですが、苦手意識のある経営者の中には「具体的な効果やメリットがイメージできないと、最初の一歩を踏み出せない」という方もいらっしゃることでしょう。そこで今回は、中小企業におけるリフォームビジネスのデジタル化成功事例と具体的な効果について、事例をもとに解説していきます。

01

施工管理アプリ徹底活用で、現場管理1人あたりの完工高が1.5倍

「ANDPAD」や「ダンドリワーク」など、ここ数年で業界内の認知度が急速に広まった施工管理アプリも、リフォームDXの代表的な手段の一つです。これらのアプリの機能は今や施工管理領域だけにとどまりませんが、やはり最大のメリットは「現場情報を共有することで、施工管理の工数を圧倒的に減らせること」でしょう。
あるリフォーム会社では、ANDPADを取り入れて現場監督の①現場確認や②職人への指示出し、③図面の共有作業、④それらに伴う移動時間が減ったことで、監督1人あたりの年間完工高を平均1億円→1.5億円まで増やすことに成功しました。もちろん労働時間を増えておらず、むしろ残業も減っています。
ANDPADそのものが優れたアプリですが、この成果の最大のポイントは「経営幹部が、会社や協力業者を巻き込んでデジタル化の舵取りをしたこと」です。「職人がアプリを使いこなせない」、「この業務は従来の方法がやりやすい」といった壁を乗り越える時は、相応の労力がかかります。施工管理DXが生産性向上に結び付くかどうかは、経営陣が主導権を持ってこのフェーズを乗り越えられるかどうかがポイントです。

02

電子契約・オンライン受発注の導入で、営業の生産性が向上

紙の契約書を交わしたり、FAXを送りあう習慣をやめて、業務のペーパーレス化と時短を実現している会社も少なくありません。こちらも中小企業様の事例ですが、自社独自に作り上げた業務システムの中で、①営業がタブレット端末上でお客様と契約を交わすことができ、②オンライン上で業者に発注依頼ができる環境をつくりました。

「契約書も発注書も、紙で出来ているんだから良いじゃないか!」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし、そこにどのくらいの“無駄な時間”があるのか再度考えてみてください。
わざわざ契約書を交わすために訪問する時間、発注書がFAXで届いたか電話確認をする時間、そして業者からFAXされた請書や郵送された請求書を紙の山から探す時間。
これらの時間をデジタル化によって削減し、商談活動に回す時間が20%増えれば、人を増やさずにそれだけの売上を増やすことができます。
「アナログのままでも業務は回っているから…。」というのが、デジタル化が進まない典型的な発想パターンです。既存のアナログ業務をデジタル化した時に、もし業務効率が飛躍的に上がるのであれば、そこにもデジタル化の大きなメリットが存在します。

03

経営指標の見える化(BI)で営業パフォーマンスが向上した事例

成長意欲の高い会社ほど、「受注目標」などの様々な指標を掲げていますが、実際は日々の業務の中に埋もれて、これらの指標が活かされていないケースがほとんどです。

この問題をデジタル化で解消している例が、Googleデータポータルを活用した「リアルタイムでの指標の見える化」です。①反響情報や営業進捗状況をGoogleスプレッドシートの帳票で管理し、②そのデータをGoogleデータポータルで自動抽出することで、最新の受注額や反響数等の実績を簡単に可視化することができます。これを事務所内のモニターに日常的に表示しておくだけでも、営業スタッフが目標や現状を意識しやすい環境へと変えることができます。

「いきなり大がかりなデジタル投資はハードルが高い。」という会社は、まずはこのように手軽に取り組めて、なおかつ売上アップなどの効果が感じやすいデジタル化から着手してみてはいかがでしょうか。

今週もお読みいただきありがとうございました。

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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
齋藤 勇人(さいとう はやと)

【プロフィール】

福島県須賀川市出身
早稲田大学法学部卒業後、2012年に株式会社船井総合研究所に入社。
住宅リフォーム事業の新規参入および活性化コンサルティングで
2015年チームリーダー昇格、2017年グループマネージャーに昇格。
現在は全国各地の地域1番店や有力リフォーム会社において、
成熟マーケットで勝ち残るためのビジネスモデル転換を数多くプロデュースしている。
その他、異業種(住宅、不動産、建材卸、専門工事業)からの
リフォーム事業新規参入や、集客不振企業のマーケティング活性化(WEB)、
営業組織マネジメント改善などの領域においても多数の実績がある。