リフォーム経営のデジタルシフト、本当に成果が出た会社は「平均訪問回数」を計っていた!?
今回は、皆様の会社で「デジタル化すること」そのものが目的化となってしまうことがないように、「生産性向上」という成果を出す上で欠かせない、デジタル化推進時の重要なチェックポイントをお伝えします。
デジタル化→即生産性アップに繋がるわけではない!
「生産性アップのためにデジタル化を推進していくべきか?」と聞かれれば、答えはほとんどの場合YESとなるでしょう。しかし、「デジタル化すれば、直ちに生産性が上がる」という考え方は正しくありません。
なぜなら、①既存業務のムダを減らす→さらなる付加価値を創出する時間を生み出す→出生産性を上げる、あるいは②従来の“経験と勘の経営”から、リアルタイム化・可視化されたデータに基づく経営にシフトする→成果を最大化するという2点が生産性向上の本質であり、デジタル化はそれを実現するための一つの手段だからです。
「〇〇というシステムを入れてみたが何も変わっていない」という会社は、システム導入がゴールになっていて、「それを活用して生産性を高める」という当初の目的のための効果検証や、活用方法の改善をするまでに至っていない場合がほとんどです。
デジタルは万能ではない。
効果が出る活用方法を自社で構築することが大事
KintoneやANDPADを活用して業務効率化に成功したリフォーム会社の事例を以前にご紹介しました。それらの取り組みはいずれも、半年~1年の期間の中で、①デジタル化を推進する社内委員会の起ち上げ、②新しい業務フローを定着させるための実施管理、③業務フロー変更に伴って起きた問題点の洗い出し、④改善施策の検討と推進といった試行錯誤を経てようやく「生産性が向上した」と言える状態に至ったそうです。
例えば、「ANDPAD施工管理で、現場情報を職人とクラウド共有しよう。報告はチャットにして、監督が現場に行く回数を減らして業務を効率化しよう。」という狙いでシステムを導入したとして、『全員がANDPADに現場情報を入力して、写真もアップしています。でも、一部の社員は「現場を見た方が早い。職人に口頭で伝えた方が安心だ。」と考えていて、結局現場に行く回数は減っていません…。』という状態になっていては、いつまで経っても肝心の生産性は上がりません。
生産性向上に繋げる上で大切な
「効果検証」と「指標設定の例」
デジタル化で生産性向上を図る際は、「その手段によって具体的に何を、どう変えるのか?」といった結果指標(例:営業案件あたりの平均訪問回数を3.6回/件→2.0回/件にする。など)を、仮説でも良いので、事前に設定しておくべきです。それがなければ、そもそも取り組んでいる施策が目的を実現するものなのか、そして目的に沿うかたちで活用できているのかを検証することもできません。
また1つ例を挙げさせていただきます。「タブレットを使って現調時にその場見積り~契約締結まで行えるシステムを導入すれば、小工事に何往復もしなくて済むから業務を効率化できる」という目論見でそれを導入したとしましょう。この時の手段と目的は「その場見積&その場契約→小工事の訪問回数が減る→時短によって生産性が上がる」です。ですからこの場合は、「その場見積&その場契約がどの程度できるようになったのか?」と「商談の平均訪問回数がどのくらい減ったのか?」を指標として、取り組みの前後を比較していくべきです。そして訪問回数が減っていないのであれば、「その場見積&その場契約が何割実施できているか?実施率をもっと上げる使い方はできないか?」などを検討して、改善を重ねていくプロセスが重要です。
以上、今回はデジタル化で生産性向上を実現するための「正しい効果検証と指標設定の例」をご紹介させていただきました。「デジタル化を進めているつもりだが、一向に生産性が上がらない」とお悩みの会社様は、参考にしていただければ幸いです。
今週もお読みいただきありがとうございました。
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■ 執筆者紹介
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株式会社 船井総合研究所
齋藤 勇人(さいとう はやと)
【プロフィール】
福島県須賀川市出身
早稲田大学法学部卒業後、2012年に株式会社船井総合研究所に入社。
住宅リフォーム事業の新規参入および活性化コンサルティングで
2015年チームリーダー昇格、2017年グループマネージャーに昇格。
現在は全国各地の地域1番店や有力リフォーム会社において、
成熟マーケットで勝ち残るためのビジネスモデル転換を数多くプロデュースしている。
その他、異業種(住宅、不動産、建材卸、専門工事業)からの
リフォーム事業新規参入や、集客不振企業のマーケティング活性化(WEB)、
営業組織マネジメント改善などの領域においても多数の実績がある。
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